資産管理会社が必要なひと 資産管理会社が必要なひと

サラリーマンの法人設立 サラリーマンの法人設立

さて、サラリーマンである個人が、法人(資産管理会社)を立ち上げることについてはどうでしょうか。
サラリーマンの収入は給与所得となるため、基本的には経費を計上することができません。給与所得控除が経費相当とみなされているためです(一部例外あり)。
また、一部の雇用形態を除いて、自分の給与の受け取り先を何らかの法人に指定するというのも現実的ではありません。 となると給与所得のみの人が、法人の枠組みを用意して家計を守ろうとするためには、何らかの事業を行う主体として法人を設立する必要があります。 ところが、サラリーマンの大半は副業禁止となっているはずですので、飲食業や物販業などを兼業するのは難しいと思われます。そもそも時間的な余裕もありません。
そこで、一般的には賃貸用不動産の取得、つまり不動産投資事業を行います。
不動産投資を法人格で行うことにより、経費計上、所得分散の点において、法人設立のメリットを享受することが可能となります。 また不動産投資は、資産運用・資産形成にもつながります。
資産規模やリスクの低さを併せ考えても、サラリーマンの法人設立において不動産投資は取り組みやすい事業と言えます。

※一部のオーナー経営者や資産家は、自社株管理や保有する土地建物の管理において資産管理会社を活用しますが、一般のサラリーマンにおいては適当とはいえませんので、ここでは割愛しています。
※会社によっては、理由の如何を問わず法人設立を禁止している場合がありますのでご留意ください。

 ■個人の所得分類とポイント

収入の例 損が出た場合に
他の所得から
控除できる
(損益通算)
資産管理会社におけるポイント
総合課税 不動産所得 不動産の貸付による収入 トランクルームやコインパーキングなどの事業による収入は事業所得になる場合があります。
事業所得 事業を営むことによる収入
給与所得 給料、ボーナスなどの報酬 収入額に応じて、給与所得控除があります。
一時所得 競馬の払戻し、借家の立退き料 法人が役員を被保険者として契約し、法人が受取人となる生命保険の満期金、死亡保険金は一時所得となります。
雑所得 公的年金など 紹介料や講演料、原稿料は雑所得となります
譲渡所得
(土地建物以外)
販売目的でない資産の譲渡による収入
分離課税 譲渡所得
(土地建物)
販売目的でない資産の譲渡による収入
一定の居住用土地建物の譲渡損失のみ。
上記以外の土地建物でも内部通算は可
所有期間が5年超か否かにより税率が異なるほか、用途により特例があります
退職所得 退職により受け取る給与 退職金は、支払う側は損金計上、もらう側も優遇措置があり節税となります。
山林所得 5年を超えて所有する山林に関する収入
利子所得 預貯金の利子など 役員が法人貸付して受け取る利子は雑所得となり、総合課税されます。
配当所得 株式から得られる配当など

ただし法人を設立すると、設立時にコストがかかること、毎年一定の費用が発生していくことを考えておかねばなりません。 節税効果を考えたにもかかわらず、それ以上に法人運営のコストが発生するようであれば本末転倒となってしまいます。 前段で提案した、不動産投資も、個人のままで行ったほうが有利な場合があります。 不動産投資による不動産所得は、給与所得と総合課税となるため損益通算ができます。そのため不動産所得がマイナスになるようであれば、一定の税還付を受けられるためです。
このように、法人設立することが果たしてよいのかどうかは、自身それぞれが考える将来にむけての目的と 所得水準などの経済的環境によって大きく変わってきます。
法人設立の効果が、ご自身にとってどういう意味をなすかをデザインした上で法人を作らなければなりません。

 ■資産管理会社の経済的なコスト(資本金1,000万以下)

設立時 設立登記 登録免許税 合同会社であれば、6万円
設立手続 司法書士報酬 定款作成含め 7万円位
資本金(出資金)の準備 1円から可能だが、通常30~100万円位 登記時にあればよい
(使っても構わない)
その他 印鑑作成などの諸費用 1~2万円
運営時 法人税 法人税、住民税、事業所税などの税金 赤字の場合は法人住民税(7万)のみ、黒字の場合は所得に応じる
税理士報酬 顧問料、申告業務の委託 年10~15万円位が目安
(内容や規模により異なる)

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